節分は壬生狂言を
2023.2.3
節分は絶対にお寿司屋さんの恵方巻きを買おうと心に決めていた。
なのになんだかんだで時は過ぎ、特に予約などもしないまま当日を迎えてしまった。
午前中仕事の打ち合わせが終わったあと、帰りに錦市場を通ったので太巻きが売ってないか探した。しばらく歩いていると魚屋「錦大丸」さん発見。
太巻き予約受付のチラシは貼ってあったが何日か前までに締め切りが終わっていたので(さすがに予約でいっぱいだよね...当日はもう無理かな...)と思いながらも、ここを逃したらもう出会えない気がして恐る恐るお店の方に声をかけた。
「すみません、当日の恵方巻きはありますか?」するとおばさまが出てきて「当日はねえ、ここに切ってあるのはあるんだけど...」と手前に少し前まで太巻きだった輪切りのお寿司が寂しそうに置いてあるのを指さした。
「そうですよね...」と言うと、しょんぼりしていて気の毒に思ったのか「ちょっと待ってね!いま巻いてるとこやから、もしかしたらそれ持たせてあげられるかもしれへんわ!」と言い奥で巻いてるお父さんが「ええよ!」と言ってくれて、なんと買わせてもらえることになった。えー!!嬉しい!
「ほんまは予約せなあかんねんけど、今回は特別ね。うちのはほんまに美味しいって人気やから来年からは予約するんやで!」と名刺を入れて渡してくれた。「魚屋さんの太巻きが食べたかったのでとっても嬉しいです!」「そうやったんか!それはよかった!ありがとうねー!」と会話をし店を後にした。
ありがとうはこちらのセリフだ。なんてあったかいんだろう、と心がポカポカした。
帰宅中、なにやら人だかりを感じる。いつもより人が多い...?近くで何かあるのかと調べたらなんと壬生寺で節分会といって祈祷会や伝統の壬生狂言の上演をやるらしい。行くしかない!と夜に壬生寺に向かった。屋台が沢山出ていて夏のお祭りのよう。普段静かな通りが見違えるほど賑やかになっていた。
奥に進むと、素焼きの炮烙(ほうらく)という瓦のようなものが山積みされていた。どうやらこれに名前や願い事(四字熟語)を書いて奉納すると、4月29日~5月5日13:00~17:30に行われる「炮烙割(ほうらくわり)」で割られ、奉納した人たちはその年の災厄が免れて福徳を得るとされているんだとか。わたしも事業繁栄と書いて奉納した。
そのあとは人生初の狂言。昔授業で見たくらいだ。すると意外や意外、小さい子から年配の方まで沢山きていて列までできていて驚いた。なんとこの時代にも関わらず皆が狂言を見にきていてほぼ満席だったのだ。月明かりが照らす寒空の下で座って観た。演目は「節分」で太鼓や笛の音に合わせて仕草のみで演じる。言葉が一切なくてもなんとなくストーリーが伝わってくるし飽きずに最後まで楽しむことができた。
帰って南南東微南の方角を見ながら黙って恵方巻きを頬張った。ぶりっぶりのうなぎやらサーモンやらトロやらイカやらでおばさまの言う通り美味しくて大満足の太巻きだった。最高!来年は必ず予約して買います!
こんなに節分節分した節分は初めてかもしれない。伝統芸能にも触れることができて貴重な経験をした。
絶対に来年も来たい。