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オリビアを聴きながら

2023.5.6

オオヤコーヒーの深く焼かれたツヤツヤの豆を挽きながら、ふと頭の中に流れた曲「オリビアを聴きながら」。

 

杏里の歌うこの歌は昭和のヒットソングとして愛されて、のちにさまざまなアーティストたちがカバーをしている。みんながしっとりと歌い上げる中、スカパラとハナレグミのコラボでカバーしたバージョンは明るいスカ風のアレンジが施されていてそれはそれでいい感じ。

 

「オリビアを聴きながら」は男女が別れたあとの気持ちを女性目線で歌った曲。

彼が本当のわたしではない幻の姿に想いを寄せていることに気付き別れる様子が綴られているんだけれど、個人的には「誕生日にはカトレアを忘れない優しい人だったみたい」というフレーズがあまりにも残酷で好きだ。優しい人"だったみたい"と他人事な表現から、ここに「わたしにはそれは優しさと受け取れなかった」「それは私の求めていたものではなかった」というニュアンスが含まれているように思う。なんて切なくて冷たいんだろう。

淋しくて想いを馳せているかと思いきや、「時間を重ねただけ」と言ったり、電話をしてきた彼に対して「二度とかけてこないで」など、強がりともとれる言葉たちも沢山出てくる。このような複雑な女心は、痛いほどわかってしまう。

 

そして「私らしく1日を終えたい」というフレーズと「私の幻を愛したの」というフレーズから、相手は本当の彼女らしさを受け入れられなかったのか、元恋人や片思いしていた相手に彼女を重ねて見ていたのか、はたまた相手がいる人だったのか...。曲自体は日記のようなとてもシンプルなものなのに、色々考えられておもしろい。女性の弱さと強さの共存した感じが等身大のようでとてもいい歌。

 

夢中になっていたら、コーヒーを飲むのを忘れていた。わたしはジャスミン茶ではないけれど、コーヒーを飲みながら「オリビアを聴きながら」を一人聴いた夜だった。

from 有