住まいと生活
2023.5.9
わたしがまだ京都に来る前に大阪で住んでいた家のこと。
本当によくある一人暮らし用の新築賃貸マンションだった。キッチンは廊下にあって、部屋はワンルームで真っ白の壁と床。
たしかに初めての一人暮らしにしては申し分ない部屋だった。廊下の狭いキッチンで器用にお菓子作りやたくさんのおかずを仕込んだりしていたし、浴室乾燥もあったから外に干さなくても洗濯物はほかほかに乾いていた。新築なので綺麗だったし駅も近く便利でもあった。
ただ本当に狭かったので、生活にメリハリが出なかったのは痛かった。部屋に入って作業机までは2歩、机からテレビの前に座るのも2歩、テレビからベッドには1歩だけで済むくらい、つまり10歩も動けば朝から夜にかけての全ての動作が完了するような規模だったので、今思えばぬるっとした生活を送っていたように思う。
今の京都の家はそれより断然広い。キッチン&食事スペースとリビング&寝室スペースで空間が分かれているので生活のメリハリもかなり出た。それにリノベーションのおかげで唯一無二の個性的でセンスの良い内装になっているから住んでいながらも毎回惚れ惚れするし愛着が湧く。
(家が広くなったのに結局28歩しか歩いていない話はこちら→「トータル12歩なわけがない」)
人間、"いい家"に住むというのはとても大事だ。
ここで言う"いい家"というのはただ高けりゃ・広けりゃいいという意味じゃない。"自分にとって心地の良い家"こそが、"いい家"だと言える。
"いい家"に住むと、それに見合ったいい暮らしをしたいと思うようになる。住んでいる家を好きになるとちゃんと大事に住んであげたいと思うようになる。そうすると、暮らしの中で自然と窓を開けていい空気を吸いたくなるし、花や草を飾ったり育てたりしたくなるし、イカしたキッチンにはイカしたフライパンがより映えるし、棚におしゃれなものを飾りたくなるものだ。
前に住んでいた家には特に思い入れもなかったので、そこまで大事に住もうという意識すらなくただなんとなく住んでいただけだったなあと、今の家に来て思う。
こんな愛せるお家に出会えてわたしはラッキーだったな。これからも大事にしていくよ。