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喫茶ソワレと東郷青児

2023.10.13

京都河原町にある「喫茶ソワレ」。

1948年戦後ほどなくして開業されたこの喫茶ソワレはカラフルなフルーツポンチが有名でよく誌面やSNSでも目にしていた。

 

たまにお店の前を覗いてもいつも若い人たちが列を作って並んでいたし、いわゆる"レトロ"で"映え"的な感じの喫茶店なんだろうな〜と漠然と思っていたのだが、いざ行ってみると思っていたのと少し違った。

 

まるで物語に出てきそうなちょっと怪しげな外観に、店内は青いライトが照らされ不思議な雰囲気が漂っていた。

お水の入ったグラスには何やら素敵な女性のイラストが。これは昭和時代、美人画家として一世を風靡した東郷青児によるものなんだとか。店内には絵も飾られているらしいが案内された席からは確認できなかった。

 

恥ずかしながら、ソワレに来るまで東郷青児のことは存じ上げなかった。だが作品を調べて驚いた。こんなに美しく可愛く、そしてどこか怪しげで、それなのに少女漫画のようなデフォルメも感じる不思議な女性の絵の数々。こんなスマートな男性がこんな絵を描くなんて。

 

お店で使われている女性のイラストはソワレのために東郷青児が描いたものだ。かわいい。

きっかけは、当時お店に東郷青児の絵を飾っていたところ、彼と親交があった画家の佐々木良三がそれを見て連れてきたのがはじまりだったそう。詳しくは喫茶ソワレの公式HPに書いてあるので是非見て欲しい。

 

元々男性のお客様が多かったことから女性に来てもらうためにかわいいゼリーポンチを考案したり、美しく見えるためにライトをこだわったりしたそうだが、まさにその作戦通り、令和の今でも女性に人気の喫茶店として愛されている。

これはただの映えだけじゃないぞ。是非この雰囲気に酔いしれてほしい。

 

静かな店内でぱちぱちと弾けるサイダーと、色とりどりのゼリーがわたしを少しのあいだ幼い自分に戻してくれるような気がした。

from 有